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南米ペルー 遺跡巡りの旅:第15回


クスコ周辺の遺跡を巡る



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クスコ周辺の遺跡巡りには周遊券がお得

クスコ近郊のインカの遺跡には、クスコの背後を守る巨大要塞サクサイワマン、巨石を加工した儀式の場ケンコー、インカ皇帝の沐浴上とされるタンボ・マチャイ、山上の古城プカ・プカラがあります。この4つの遺跡は、ツアーなら半日で回れますが、私は一人でゆっくり回ることにしました。まずはタンボ・マチャイです。

 クスコを取り囲む山の上にあるタンボ・マチャイには、庶民の足であるコレクティーボ(乗合自動車)で行くことができます。クスコの町外れにあるバス停で待つと、行き先が異なった、たくさんのワンボックスカーのコレクティーボが通ります。その中からタンボ・マチャイ行きを見つけて乗り込みました。

 コレクティーボは、クスコの裏側に位置する山をどんどん登っていきます。約40分でタンボ・マチャイの入り口に到着。料金は2ソーレス(80円弱)でした。

 遺跡に入るには入場料が必要ですが、たくさんの遺跡を回るのなら遺跡周遊券(boleto turistico del Cusco)を買うとお得です。周遊券はクスコの中心部にあるクスコ市役所の入り口付近に販売所があり、入場できる遺跡や博物館、有効日数の違いで何種類か用意されています。私も、クスコ市内で買った周遊券を見せて遺跡に入りました。

クスコ周辺の4遺跡を巡る一日周遊券。


インカ皇帝の沐浴場タンボ・マチャイへ

雨季ということもあり、タンボ・マチャイは緑に囲まれた綺麗な場所でした。整備された歩道を歩いていくと、インカ特有の石垣が見えてきます。規模は小さいのですが、石組みの美しさから、ここがかなり重要な施設だったことが想像されます。

 この、タンボ・マチャイというのは、ケチュア語で「休息の宿場」といった意味になるようです。ただ、ここは旅人が休む宿場ではなく、インカ皇帝が沐浴するための施設だったと推測されています。

  川沿いの斜面に石組みで沐浴場が作られ、反対側の斜面には見張り台があります。沐浴場は4段に分かれていて、下の2段はインカ以前の時代に作られたものとされます。上の2段はインカ時代のもので、皇帝の脱衣場と言われているくぼみもあります。

 石組みからは絶えることがないという水が流れ出していますが、その水源がどこにあるか、いまだに分かっていないそうです。

 沐浴場の向かいにある見張り台からは、タンボ・マチャイの出入り口の先にあるプカ・プカラが見えるようになっているそうです。皇帝が沐浴している間、プカ・プカラには見張りが立ち、不審者などが近づいてこないか監視と護衛をしていたということです。


見張り台から見たタンボ・マチャイの沐浴場。

常に水が流れる水沐浴場の石組み。下2段がプレ・インカ、上2段がインカが作ったもの。

沐浴場は向かって左側が男性用、右側が女性用に分かれていた。

沐浴場の上から全体を見たところ。左側に沐浴中の皇帝を守る見張り台がある。

 

歴史ある古城といった風情のプカ・プカラ

タンボ・マチャイから歩いて10分ほどのところにプカ・プカラ遺跡はあります。こちらは山の上に位置する小さな城塞で、プカ・プカラはケチュア語で赤い要塞を意味するそうです。赤みを帯びた石灰岩で築かれているためこう呼ばれるのですが、インカ時代の名前は分かっていません。

  遺跡の上に立つとよく分かりますが、城砦はインカ帝国の首都クスコに入る峠の頂上に位置しており、山を越えてクスコに迫る敵に対する備えとして作られたものと考えられます。

 小さな丘を石垣が取り囲む形で砦が築かれていますが、石組みは実用本位で、インカらしい美しい加工はされていません。ただ、周囲に広がる緑豊かな絶景とあいまって、歴史ある古城といった風情のあるいい遺跡だと思います。


プカ・プカラはクスコにつながる街道を監視する位置にある。

丘の上に築かれた城壁や見張り台が残されている。

石組みはあまり緻密ではないが、インカらしさは感じられる。

インカらしい石の門もある。


不思議な巨大加工岩 ケンコー

プカ・プカラからコレクティーボでケンコーに向かいます。歩いても下り坂を40分程度ですが、標高が3800mと高いため、慣れないうちは無理は禁物です。のんびりと坂を下る車に乗って約10分でケンコーに到着。料金は40円弱でした。

 ケンコーには宗教儀式のために作られたという不思議な巨大加工岩があります。もともとそこにあった大きな石灰岩の表面を削って平らにしたり、階段を作ったり、くり抜いて通路を造ったりしてあります。ケンコーというのはギザギザという意味で、その名の通り、岩の上にはギザギザの形が彫られています。インカ時代には、そこに犠牲の血などを流す儀式が行われたそうです。

 ただし、今は石の上には登れなくなっているため、遠目でしか上部を見ることができません。どこの遺跡も規制が厳しくなり、自由に見学できないのは残念です。


様々な加工が施された巨大石灰岩。左側には儀式を行う円形広場がある。

岩の上部。階段などが作られているのが分かる。

岩の側面も平らに加工されており、内部も通行できるようにしてある。

岩の中も加工されており、左側はミイラを作るための台だったとか・・・。

 

スペイン軍をはねのけた要塞サクサイワマン

ケンコーから、クスコを望む巨大遺跡サクサイワマンまで歩いて20分ほどです。クスコの中心地からでも、歩いて1時間以内で行くことができますが、坂を上って行くためにかなりキツイです。一方、ケンコーからはゆるい下り坂で楽ですし、サクサイワマンの見事な石垣の全体を遠望することもできます。

 サクサイワマンは、要塞とか宗教儀礼の場とかいう説がありますが、おそらくその両方の役割を持っていたのでしょう。要塞としてのサクサイワマンは非常に堅固で、1536年に勃発したスペイン軍とインカ軍の軍事衝突ではインカ軍がここに立てこもりスペイン軍の攻撃を何度もはねのけました。

 その最大の特徴は巨大な岩を組み合わせて築いた石垣です。それも見事な加工で隙間なく組み合わせており、インカの技術の粋を見ることができます。石組み加工の美しさではクスコ市内の石垣のほうが優れていますが、石の大きさではこちらのほうがはるかに勝ります。


ケンコーからの道から見たサクサイワマン。観光用のリャマが遊んでいた。

石組みは3段に築かれている。これは天、地、地下の3つの世界を表しているとか・・・。

美しさより荒々しさが感じられる石組み。いかにも要塞という感じがする。

石垣の1段目には特に大きな石が使われている。

石の門は狭く、防御しやすい構造になっている。

 

クスコを一望できる高台

サクサイワマンは広場を挟んで南側と北側に分かれていますが、巨大な石垣があるのは南側になります。

  こちらは、クスコ市街を望む高台になっており、ここに立てこもったインカ軍は、クスコにいるスペイン軍の動きを的確に把握できたでしょう。現在は、クスコを望む場所に大きな十字架が立てられています。

 雨季のクスコは毎日雨が降ります。この日も午後3時頃から雨が降り出し、サクサイワマンを半分も見ない内に降りが激しくなりました。これでは写真も撮れません。残念でしたが、遺跡巡りを中止してクスコに戻ることにしました。


十字架が建てられたサクサイワマンのミラドール(展望台)。

 

線

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