トゥクメ (シカンorランバイエケ文化)ペルー

トゥクメは、ペルー北部の主要都市チクラヨの北33qに位置する大規模な古代都市の遺跡だ。この地域には時期が重なってシカン文化とランバイエケ文化が栄えていたが、この二つの文化が同じなのか、異なるのか、まだよくわかっていない。

「シカン」というのは発掘調査を行った南イリノイ大学の島田泉教授が名付けたもので「月の神殿」を意味する。シカン文化が栄えたのは、モチェ文化が衰退した後の750年〜1350年頃とされている。

トゥクメは、220ヘクタールの広さに26のピラミッドなどの建築物が存在する巨大な宗教都市だ。伝説では、この地でピラミッド建設を始めたのはシカンの神ナイランプの末裔のコリャックという人で、紀元700年ころのことだという。このころのシカンは、バタン・グランデを中心地としていたが、その後、紀元1100年ころに中心はトゥクメに移る。それによって、この都市も巨大化していったのだ。

1350年ころになると、ペルー北部の海岸地域に勢力を拡大したチムー王国によってシカンは滅亡させられてしまう。しかし、チムーはトゥクメを破壊せず、地域を統治するために利用し、さらに神殿の増改築を進めた。その後、やってきたインカも同様に、この神殿群を活用し続けたのだ。



ペルー北部の主要都市チクラヨ周辺には、モチェ文化、シカン文化、ランバイエケ文化などが栄えていた。トゥクメはチクラヨから北に33qほどのところにある。個人でのアクセスももちろん可能だが、国立シカン博物館なども併せて巡るならツアーを使ったほうが効率的。ただし、ツアーのコースは複数あるので、訪問する場所をよく確認したほうがいい。


 

遺跡の中心部に向かって看板が方向を示しているが、周囲にはアドベの建物が崩れた泥の山ばかり。


比較的形状が残っている「HuacaT」。トゥクメの中でも重要なピラミッド神殿の一つだ。


中心部にそびえる丘「cerro purgatorio =煉獄の丘」。山腹に階段が備え付けてあり、上に登ると遺跡全体が見渡せる。


丘の中腹に設けられた展望台。丘の頂上まで登ることができるが、遮るもののない直射日光の下では疲れる。


展望台から見たワカ・ラルガ。写真右端から左上の緑の農地に突き出す長方形をしており、長さ700m、幅280m、高さ30mあるそうだ。


「La Huanca」は北向き、「La Gleria」は東向きに建てられている。二つのピラミッドの正面通路が交差する場所に「Plazuela de la Huanca」という広場があり、ここに日時計のような石柱が建てられている。Huaca las Balsasから見つかったバルサ(葦船)のレリーフの復元模型。


国立シカン博物館

シカン文化の王や神官などが身にまとった豪華な装飾品などが展示されているのが国立シカン博物館。ここの収蔵品は、1991年に南イリノイ大学の島田泉教授がポマックの森にあるワカを発掘して発見したもの。
 最大の見どころは、墓から見つかった金銀でできた副葬品。中でも金銀銅の合金(トゥンバガ)で作られ、赤い染料が塗られた「黄金の大仮面」は見事な作りだ。その他、様々な細工が施された金銀宝石の装飾品が展示されているが、どれも素晴らしい出来栄えで、古代の人たちが細工にかけた情熱が伝わってくる。


金色に輝く「黄金の大仮面」(左)は見事な作りだ。輿に乗った王などの支配階級の服装の再現模型(右)もある。


シカン文化の遺跡発掘が行われたポマックの森にあるワカ・ロロの模型と写真。




勝手に評価/お勧め度 ★★

★★★★★=文句なしに素晴らしい、絶対お薦め。
★★★★=かなりいい、一度見てほしい。
★★★=なかなかいい、見逃すのは惜しい。
★★=まあ、期待しないで見てみてはどうでしょう。
★=特にお勧めはしません。

トゥクメの遺跡は泥の山ばかりで、見るべきものはあまりない。丘の上からの景色はなかなかいいが、暑くて登るのが大変だ。ただし、26ものピラミッドがあるため、今後発掘が進み、ワカ・ラス・バルサスのレリーフのようなものがさらに発見されれば、見応えのある遺跡になりそうだ。
 周辺施設としては、発掘品を展示している「MUSEO DE SITIO TUCUME」が遺跡の入り口にあるが申し訳程度の解説と壺などの出土品展示をする遺跡付属博物館だ。
 トゥクメに直接関係しているわけではないが、同じシカン文化の黄金の装飾品などを展示した国立シカン博物館は素晴らしく、一見の価値あり。

 

ラテンアメリカ博物館
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