ティカル遺跡(マヤ文明)グアテマラ
数多いマヤの遺跡の中でも最大の規模を誇るのが「ティカル」。グァテマラの密林の中に巨大なピラミッドが聳え、周辺には無数の古代の都市の跡が散在している。写真は最もよく復元された1号神殿。最上部の神殿上には飾り屋根を持つ美しいフォルムだ。数あるマヤ文明の遺跡の中でも最高峰と言える、密林に包まれた神秘的な遺跡だ。
 ティカルは紀元4世紀ころに最初の王朝が誕生し、次第に勢力を強めたが、6世紀になってカラクムルやカラコルといった周辺の有力な都市との対立が激化して一時は衰退。しかし、7世紀の末にカラクムルを破って復興を遂げた。その後、人口増加による環境破壊が進み、深刻な干ばつが重なることによって9世紀ころから衰退していったとされている。


ティカルへは、グァテマラの首都グァテマラシティから飛行機で近隣の町フローレスまで飛ぶのが一般的。グァテマラシティやアンティグアからのツアーも数多くある。安く行きたいならグァテマラシティからバスも出ている。フローレスまで約8時間。夜10時ころ発で朝6時過ぎに着く。

フローレスからティカルに行くには、ツアー会社が運行するバスを使うのが便利だが、ローカルバスもある。フローレスからティカルまでは1時間半〜2時間。

 

ティカル遺跡の全体図


ティカル1号神殿(テンプロT)。高さ51mあり、上部の神殿入り口にジャガーの彫刻があったことから「ジャガー神殿」と呼ばれる。マヤの他の都市のピラミッドと比べ非常に傾斜がきついのが特徴で、登るのは怖い。現在は遺跡保護のため登頂は禁止されている。


2号神殿の上から見たグラン・プラサ(大広場)と1号神殿。


1号神殿と向かい合わせに建つ2号神殿(テンプロU)。こちらは上部テラスに登ることができる。


グラン・プラザから西に向かうと3号神殿(テンプロV)の前を通り、ティカル最も背が高い建造物である4号神殿(テンプロW)に行き着く。4号神殿は高さが65m弱あるが、森に埋もれたようになっている。下部基盤の修復が進んでいるので、いずれ全体が復元されるかもしれない。


 4号神殿の脇に設けられた木製の階段。これで上部のテラスに登れる。


4号神殿上部のテラスから見た景色。右が3号神殿、左に1号神殿と2号神殿が見える。この場所は映画スター・ウォーズの第一作に登場したことで、世界的に有名になった。


4号神殿から南に方向を転ずると、ムンド・ペルディード(失われた世界)がある。ここにあるのはティカルで最も古い時代の建造物群で、大ピラミッドの形は、底辺が広い、どっしりとした四角推。建物の形状からメキシコ中央高原の巨大文明であるテオティワカンの強い影響を受けていることがわかる。こちらは登頂禁止だ。


失われた世界のタルー・タブレロ神殿。他の神殿とは形が異なり、メキシコ中央高原のテオティワカンのスタイルになっている。こちらは登ることができる。


森の中を先に進むと、新たに修復された5号神殿(テンプロX)に行き着く。この神殿は高さ58m弱あり、ティカルでは2番目に高い建造物だ。この神殿の上からの眺めもいいのだが、現在は登頂禁止。


さらに、森の中を30分ほど歩くと6番目のピラミッドである6号神殿(テンプロY)に到着。修復もあまり進んでいない小型の神殿だが、それが神秘的な雰囲気をとどめていていい感じだ。




勝手に評価/お勧め度 ★★★★★
★★★★★=文句なしに素晴らしい、絶対お薦め。
★★★★=かなりいい、一度見てほしい。
★★★=なかなかいい、見逃すのは惜しい。
★★=まあまあ、期待しないで見てみてはどうでしょう。
★=特にお勧めはしません。

 マヤ最大の遺跡と言われるが、ティカルは大きさだけでなく、建造物の素晴らしさや神秘性においてもマヤ遺跡の最高峰だ。難点といえば、首都グアテマラシティから遠く、遺跡近くの町までバスで10時間かかることだろう。しかし、そのお陰で観光客がそれほど多くなく、遺跡の神秘性も保たれているという利点がある。近年は飛行機を使ったツアーが増え、さらに、ティカル周辺の遺跡や観光地の開発などが進んで、昔に比べて観光客は格段に多くなった。

 

ラテンアメリカ博物館
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