ホヤ・デ・セレン(マヤ文明)エル・サルバドル
ホヤ・デ・セレンは、西暦590年頃に起きた火山の噴火によって発生した火山灰に埋もれた農耕集落の跡だ。このため、「中米(メソアメリカ)のポンペイ」とも呼ばれている。ポンペイと異なるのは、灰に埋もれた住居跡から遺体が発見されていないこと。火山の爆発を見た村人たちは、大急ぎで避難したのだろう、家財道具から用意された食事までもが後に残されたままとなった。また、降り積もった火山灰の温度が比較的低かったようで、食物などが元の形を残しているなど、保存状態がいいのが特長とされている。
  ちなみに、ホヤ・デ・セレンとは「セレンの宝石」という意味で、この遺跡の価値の高さを示す意味で名付けられた。1993年には世界遺産に登録。集落跡は、遺跡好きには物足りなさが残るが、古代マヤの農民生活を垣間見れる場所は他になく、非常に貴重だ。


中米エル・サルバドルの首都サン・サルバドルの北西に位置し、市内の西バスターミナルからオピコ行きのローカルバスで約1時間。

 

ホヤ・デ・セレン遺跡の入り口。日本の協力によって、よく整備された施設となっている。


緑が多い遺跡公園の中を歩くと、屋根掛けがされた遺跡がある。ここは「エリア1」。


内部が迷宮のようでユニークな作りの家とされるエリア1の「構造物12」。女性のシャーマンが使っていたのではないかと推測されているようだ。


丸い場所はキッチンだったと推測されている。エリア1の「構造物11」。


エリア2にある規模の大きい家。左から母屋「構造物2」、貯蔵庫「構造物7」、スチームバス「構造物9」。


エリア2の「構造物9」は、儀式の際に身を清めるために使ったテマスカルと呼ばれるスチームバス。


 庭には、「構造物9」のスチームバスを再現したものが置かれている。下で火を焚くことで水を沸騰させ、蒸気を上部の室内に取り込んで身体を清める仕組み。


ホヤ・デ・セレンで最も大きな建物だというエリア3の「構造物3」。重要な集会に使われたと推測されている。


エリア4の「構造物4」。エリア3の「構造物3」に隣接して建てられている。


併設の博物館には、発掘された土器などが展示されている。




勝手に評価/お勧め度 ★★
★★★★★=文句なしに素晴らしい、絶対お薦め。
★★★★=かなりいい、一度見てほしい。
★★★=なかなかいい、見逃すのは惜しい。
★★=まあまあ、期待しないで見てみてはどうでしょう。
★=特にお勧めはしません。

 

 火山灰に埋もれた農耕集落であるため、ピラミッド神殿や宮殿などの大きな構造物はない。世界遺産に登録されていることだけに、マヤ文明研究の専門家には重要な遺跡だろうと推測できる。ただ、神秘的な古代都市ではないので、一般の観光客が見ても、あまり面白いものではない。周辺施設は一通り整備されており、園内も美しい。近くに行ったら見たほうがいい遺跡といえる。アクセスについては、首都からローカルバスの路線があり、遺跡の前が停留所になっていることから、かなりいいといえる。

 

ラテンアメリカ博物館
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