カラル (カラル文化)ペルー
カラル遺跡はリマの北約200kmに位置する。ここを流れるスペ川流域には数多くの古代遺跡が眠っており、1948年にはカラルの一部である古代都市が発見された。しかしカラルが世界的に注目されるようになったのは1994年に本格的な発掘調査が行われてからだ。
 砂漠地帯からは、ピラミッド型神殿や住居、円形劇場まで含む大規模な都市遺構が発掘されさた。しかも、そこから見つかったシクラと呼ばれるイグサの袋の年代測定をしたところ、紀元前2600年以上も前のものという結果が出たのだ。
 これが事実なら、エジプトのピラミッドが作られたのと同じ古い時代に、アメリカ大陸に大規模な都市が存在したことになる。これによりカラルは「アメリカ大陸最古の都市」と言われるようになった。その評価はまだ完全に固まっているわけではないが、多くの人たちが驚きをもって注目し、現在も続けられている発掘調査に期待している状況にある。


カラル遺跡へは、リマの北にあるスペの町からツアーが出ている。乗り合いタクシーで遺跡近くの村まで行き、そこから歩くこともできる。


 

カラル遺跡の建造物群は60ヘクタールの広さにまたがって存在しているが、現在見学できる遺跡の中心部の広さは約1km四方の範囲に収まる。ただし、見学のためには炎天下の砂漠を3km程度は歩かなくてはならない。


カラル遺跡の中心部の地図。さまざまな建造物が立ち並んでいるのがわかる。


発掘途中の2つのピラミッド、La Huanca(左)とLa Galeria(右)が並んでいる。


カラルで三番目の大きさを誇るLa Galeria。手前の石垣はLa Huanca。砂漠の砂の中から掘り出したばかりという感じの石の山で、黒い旗が風を受けて翻っている様子は砂漠の盗賊が立てこもる要塞のような雰囲気だ。黒い旗を立てているのは、ピラミッドに巣を作る燕を近づけないためだそうだ。


ペルーの砂漠地帯の古代文明の多くはアドベ(日干し煉瓦)を使って建造物を作ったが、ここでは石を積み重ねて作っている。


「La Huanca」は北向き、「La Gleria」は東向きに建てられている。二つのピラミッドの正面通路が交差する場所に「Plazuela de la Huanca」という広場があり、ここに日時計のような石柱が建てられている。


カラル最大のピラミッド型建造物「Edificio Piramidal Mayor(大ピラミッド)」の前で説明するガイド。この頂上からは、カラル全体の様子が見られるだけでなく、スペ川中流域を見渡せるということで、都市を含む支配地域をコントロールするための中心的建造物であったと考えられている。


大ピラミッドからスペ川の対岸を望むと、別の文化が築いたピラミッドが見える。


大ピラミッドの向かいには、カラルで二番目に大きな「Edificio Piramidal Central(中央ピラミッド)」があるが、こちらはほとんど砂に埋もれていて発掘は進んでいない。


中央ピラミッドの隣には「Edificio Piramidal Cantera」があり、現在はこのピラミッドの発掘調査が進められている。Cantera(石切り場)と名付けられた通り、他のピラミッドを作るための石を切り出すベースとなっていたと推測されているようだ。


大きな円形の広場を持つ「Templo del anfiteatro」。ここからは動物の骨で作られたフルートやコルネットが発見されていることから、音楽などを演奏した円形劇場であったと考えられている。


スペ渓谷の光景。手前にスペ川がありその先には農地が広がっている。




勝手に評価/お勧め度

★★★

★★★★★=文句なしに素晴らしい、絶対お薦め。
★★★★=かなりいい、一度見てほしい。
★★★=なかなかいい、見逃すのは惜しい。
★★=まあ、期待しないで見てみてはどうでしょう。
★=特にお勧めはしません。

 最近注目度が急上昇している遺跡だが、まだ発掘調査や修復があまり進んでいない。もう少し、遺跡として整備されたらお薦め度を★★★★にしてもいいと思う。

  周辺の環境は、砂漠の景色は味わいがあるし、スペ川が流れる肥沃なスペ渓谷の景色は美しい。周辺施設は、ビジターセンターに、小さな博物館、レストラン、売店、トイレなど一通りそろっている。アクセスはツアーがまだ少ないし、バスでは少し行きにくい。しかし、今後、遺跡整備が進むにしたがって、すべてが改善されていく可能性が高い。

 

ラテンアメリカ博物館
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