クスコ〜プーノ間を走る豪華ツアーバス
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ペルー北部のクスコとチチカカ湖に面したプーノの間を移動する手段には列車もありますが、最近では、観光が充実した豪華ツアーバスが人気になっています。今回は、このツアーバスでプーノからクスコまで移動してみます。このサービスを行っているバス会社は2社ほどありますが、私が利用したのはインカエクスプレスという会社でした。料金は季節によって異なるようですが、クスコまで約50USドル。昼食、経由地での観光もついていますから、かなりお得な感じです。
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インカエクスプレス社のバスルート図 |
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バス綺麗で乗り心地もよし・・・
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朝7時発ということで、少し前にプーノのバスターミナルにあるバス会社に行くと、制服の係員が3人ほどいて非常に丁寧な対応です。バスに案内されると、外観も内部も日本のツアーバスよりずっと綺麗で「豪華バス」と呼んで間違いない感じ。
シーズンオフのせいか乗客は7人しかいません。40人は乗れそうな大型バスを少人数で贅沢に使えるのは嬉しいです。乗客が集まったので、7時ちょっと前に出発。間もなく若い女性乗務員が朝のコーヒーをサービスをしてくれました。
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インカエクスプレスの大型バス。後方に別会社のツアーバスがいる。
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プカラ文化の遺跡が残る村
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最初の停車地はプカラという村です。この村の外れにプカラ文化の遺跡があり、出土品が村の博物館に展示されているのです。プカラ文化は、紀元前200年から紀元500年ころまでチチカカ湖周辺を支配していた文化だそうです。
遺跡には7段のテラス状建造物があり、その頂上には半地下式の広場が作られているそうです。バスツアーでは、ガイドが博物館を案内してくれますが、遺跡を見る時間まではなく、30分ほどでバスに戻らなくてはなりません。残り時間を利用して遠くから遺跡の写真を撮りましたが、ちょっと残念でした。
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プカラ村の様子
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プカラ村にある小さな博物館
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岩山の前に積まれた遺跡の石垣が見える
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4335mの絶景を楽しむラ・ラヤ
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バスは標高4000mの大平原、アルティプラーノを貫くハイウエイを快適に走り続けます。35年前にもこのルートを夜行バスで移動したことがありますが、当時は舗装路がなく、ひどく揺れました。現在は、バスも道路もいいため、非常に快適でした。
昼ちょっと前に、ラ・ラヤという標高4335mの峠に着きました。道路わきの駐車場では地元の人たちがアルパカセーターやリャマの敷物などの土産物を売っています。下の方を見ると草原の中に鉄道の小さな駅がありました。周囲には雪をかぶったアンデスの高峰が連なっており、素晴らしい景色です。
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ラ・ラヤから雪をかぶったアンデスを眺める
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バスの車窓から見たリャマかアルパカの群れ
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昼食はビュッフェ方式
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昼食はシクアニという町にあるツアーバス専用のレストランで摂ります。サラダ、メイン(ペルー料理)、スープ、デザートを並べたビュッフェ方式で、ホールのステージではアンデスの音楽フォルクローレを演奏していました。
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昼食を摂るレストラン
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内部はこんな感じ。料理は普通においしい。
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インカの巨大神殿が残るラクチ遺跡
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次に寄るのはラクチ遺跡です。
ラクチ(Raqchi)はインカ時代の都市で、ビラコチャを祀った大規模な神殿や食料貯蔵庫、支配層の居住区などから構成されています。
最も特徴的なのは、ビラコチャ神殿です。現在は、石の基盤の上にアドベ(日干し煉瓦)の壁だけが残っていますが、これは神殿の中にあった壁だそうです。実際は、左右に広がる二階建ての建物で、幅92m、奥行き25.5m、高さ18〜20mという四角形をしていました。この壁を見るだけでいかに大きな建物だったか想像できます。
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ラクチ遺跡のビラコチャ神殿
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支配層の住居跡。かなり規模が大きく立派だ
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戦争に備える食糧貯蔵所
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もう一つの特徴は、ここにはコルカと呼ばれる食料貯蔵庫が156個も残されていることです。コルカは石を積み上げて直径8m、高さ4mの円筒形にしたもので、上部には藁屋根が掛けられていました。
コルカは食料を盗難などから守るとともに、戦争の際の非常食を貯蔵する意味もあります。このため、ラクチがインカの軍事戦略上、非常に重要な位置を占めていた都市であったことが分かります。
ガイドの説明では、ラクチはインカの主流であるケチュア族の支配地と隣のアイマラ族の支配地の境目に位置していたそうです。インカがアルティプラーノ南東部に勢力を拡大する過程でこの地方ではかなり激しい争いがあったのでしょう。都市全体を大規模な石の壁で囲っていることからも、それが推測できます。
ラクチ遺跡は見どころが多いですし、周辺の景色も綺麗です。また、遺跡の前には土産物屋がたくさん店を出していますので、2〜3時間かけてゆっくり見たいところです。しかし、バスツアーですから40分ほどで終了。
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食糧を貯蔵したコルカがたくさん並んでいる
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インカの吊橋を楽しむ
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次はインカ時代から使われているという吊り橋がある場所です。
ここには、インカ時代の吊橋、スペイン時代の石橋、現代の鉄橋の3つの橋が作られています。インカ時代の吊橋は木のツルや藁束を編んだロープなどで作られていたようです。この橋も同じように作られているように見えますが、安全性を高めるためワイヤーロープやプラスチック繊維が使われています。それでも、日本の山にある吊り橋のような揺れ防止がないので、非常に不安定で、渡るのが結構恐いです。
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スペイン時代の石橋の前にインカ時代の吊橋がある
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吊り橋は不安定に揺れるので恐い
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アメリカのシスティーナ礼拝堂
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最後の訪問地は、アンダーワイリーリャスという小さな村です。
ここにはサン・パブロ・アポストロ教会という、ちょっと変わったキリスト教会があります。別名「アメリカのシスティーナ礼拝堂」と言われているそうですが、それは、教会内部の壁や天井に所狭しと古い宗教画が描かれているからです。
洗練されたシスティーナ礼拝堂の絵画とは異なり、素朴な民衆画の手法で描かれたラテンアメリカらしい幻想絵画は独特の味があって面白いです。ちなみに教会内部の写真撮影は禁止でした。
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サン・パブロ・アポストロ教会の外観
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正面の壁にも絵が描かれている
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アンダーワイリーリャスの村では日曜市が開かれる
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クスコに到着
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これで観光は終了。一路、クスコに向かいます。バスは、ピキリャクタ遺跡などがあるクスコの南の谷を走り抜け、午後5時、クスコ市内にあるバス会社の駐車場に到着しました。
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クスコの庶民街は大勢の人がいて活気がある
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