エズナは、ユカタン半島のマヤ遺跡の中で、本格的な発掘調査が行われてまだ日が浅く、あまり知られていない遺跡だ。 エズナ谷と呼ばれるこの地域に人が集まって集落が形成され始めたのは紀元前4〜5世紀とかなり古い。その後都市が発達し、巨大神殿がたくさん作られるまでに発展したのは西暦1000年ころのこと。その後、周辺の他のマヤの都市が次々と放棄される中でもエズナは維持され続け、放棄されたのはスペイン人到達直前の1500年ころとされている。 エズナの大きな特徴は、雨季に降る大量の雨を活用する水利システムが発達していたこと。谷の底に位置する都市であったため、周辺に降った雨水を引き込んで貯水池に溜め、これを農耕の灌漑システムや運河を巡らせた移動・物流システムなどに利用するという高度な社会システムを構築していた。 こうした都市やシステムの建設には膨大な人力が必要なことから、エズナの最盛期は、かなり大規模な都市国家であったと推測されている。その象徴である五層の神殿や様々な建築物が集まったグラン・アクロポリスなどをみると、この都市の大きさや豊かさを感じることができる。
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